クリエイター大山さん

多彩な経歴の先に 見えてきたもの

2020年11月、ひとりの男が秩父に移住してきた。
飲食店経営・ドローン事業・花屋・卸売業
IT・通信・金融・執筆・企画・広報
はては、豆腐屋に至るまで…

数えきれない程の経歴を持った男は、
秩父で新たな“生き方”を見いだしていた。
大山竜右さん。
現在、秩父を中心にマルチな活躍を見せているクリエイターだ。

大山さんは言う。
「地方移住は、生き方の再定義なんです。」
今回は、そんな大山さんが何を求めて秩父に移住し、
そして変化していったのかを伺った。

都内で生まれ育って感じた違和感

東京都板橋区で生まれ育った大山さんは、
ごく平凡な家庭と、ごく平凡な教育機関の
ごく一般的な“当たり前”に触れて育ってきた。

しかし意外にも、
親や先生や友人が口々に言う
「幸せ」や「成功」
に違和感を感じ始めたのは、
小学校2年生の頃からだったという。

気づいたのが早すぎたのか、
まわりの空気に飲み込まれるように、
一般的な優等生として生きてきた大山さん。

違和感を爆発させた最初のきっかけは音楽との出会いだった。

「音楽との出会いで、初めて自分を自由に表現することができました。」

しかし大山さんは若くして子供を授かり、
21歳で結婚。
生活のために音楽を辞め、
様々な仕事に従事するようになった。

時には体を壊すほど仕事に打ち込むうちに、
気づくと心の中の違和感は消え、
世の中が求める「成功」を追いかけるようになっていった。

コロナ禍で立ち止まり、忘れていた感覚を思い出す

20代は家族の「幸せ」ために働き、
離婚した30代は「成功」のためにがむしゃらに頑張った。
でも、どんなに頑張っても、
どんなに成功しても、
心の渇きが満たされることはなかった。

そんな中、世界中にコロナが襲った。

世の中が求める「成功」を追い求めることに疲れた大山さんは、
コロナをきっかけに仕事を整理し、
一度立ち止まることにした。

「料理でいうと、世の中が求めている成功って
化学調味料のたくさん入ったラーメンのようなものなんじゃないかと
思うようになりました。
刺激的で、美味しくて、癖になって、体を蝕んでいく。
でも本当の幸せとか成功って、
出汁のきいた味噌汁を飲んだ時の
じわ~とくる
あの感じなんじゃないかと思ったんです。」

きっかけは、いつも出会いが与えてくれる

本当の幸せ。
本当の成功。
もっと本当に自分らしい“生き方”を見つけたい。

そんな時、
都内の友人から地方移住の話があがった。

「最初は乗り気じゃなかったんです。まぁ3年後くらいにはするかもね、って感じで。
でも、せっかくだからと移住の下見には一緒に行って、色んな場所を巡りました。」

どこも自然が多く、いいところではあったが、
今一つピンと来るものを感じていなかった大山さん

しかし、いくつかの下見旅行でたまたま行った秩父に見事にハマった。

「ネットで見つけて、
ちちぶホステルっていう民泊に宿泊したんです。
その宿の洗練された空間もよかったんですけど、
何よりその宿の管理人のサムさんとの出会いで、全てひっくり返りました。」


民泊管理人DJ サムさん


大山さんはもともと地方移住について、
従来の地方移住のイメージである、

・自宅をDIY
・庭で家庭菜園
・大自然の中でのんびりスローライフ

そんなことを想像していたそうだ。

しかし「ちちぶホステル」管理人サムさんとの出会いによって、
移住のイメージが一気に逆転。

秩父で感じたものは、

・人との有機的なつながり
・活躍できる場
・これから盛り上がって行こうとするエネルギー

どれも都内にはないものだと気が付いた。

「ここでなら、自分が本当に目指す“生き方”や“働き方”が出来るかもしれない。」

こうして大山さんは、
友人の赤堀聖太さんと共に、
2020年11月
秩父へと移住してきたのだった。


iPhone修理屋 赤堀さん

秩父で見つけた本当の幸せ

現在大山さんは、FMクマガヤの人気ラジオ番組「いつかのサムタイム」の構成作家や、
埼玉の地域活性プロジェクト「プロジェクトSAM」のディレクター、
そして秩父のランドマーク的な複合施設「秩父表参道Lab.」
(前述した民泊「ちちぶホステル」も、この施設内に入っている)
の企画・広報、その他ライター業や、地域を盛り上げる新商品開発など、
多岐にわたって活躍している。

「本当に自分らしい生き方を見つけることが出来ました。
面白い人たちと、面白いことをしていたい。
その中で、少しでも誰かのお役に立つことが出来ればと思います。
あとは猫と戯れてる毎日なんで、もう何も言うことないですね。」

無類の猫好きを豪語する大山さんは、クシャっと笑ってみせた。

あなたも大山さんに会って、秩父の魅力を教えてもらいませんか?