武蔵屋本店 翼さん

新しい環境へ 飛び込む

秩父駅を出て右へ真っ直ぐ 5分ほど歩いたところに、秩父そばの名店 武蔵屋本店がある。
そこで働く翼さんは、日頃より地域活動に積極的に参加されている。
てっきり秩父の方かと思えば、出身は北海道だという。
どんな経緯や想いがあって活動されているのか、お話を伺ってみた。

学生時代は転校が多く、転勤族の父親の影響で北海道内を転々としていた。
日本の食料基地である北海道で食料生産を学ぶため、帯広の大学へ進学。
北海道の外を知るのも良いと母親のアドバイスを受け、大阪の理化学機器の商社に就職した。
会社ではカタログ編集から営業、海外出張など、幅広い業務を経験した。
ハードで辛いこともあったが、とてもやり甲斐を感じていた。

5年間のサラリーマンを経て、大学生の頃から遠距離恋愛をしていた奥さんと結婚。
悩んだ末、奥さんの実家である秩父の蕎麦屋で働くことを決心した。
初めての環境に飛び込むことには、慣れている自信があったし、これも巡り合わせと感じていた。

人とのつながりをつくる

それでも、やはり知らない土地での初めての職業。不安はあった。
友達もいないし、縁もなければ知識もない、ゼロからのスタートだった。
だからこそ失うものなんて何もないと、何事にも飛び込んでチャレンジするよう心掛けた。
人脈づくりのために、消防団や青年会議所など地元の活動へ積極的に参加した。

ある日、たくさんのカブトムシを持て余しているというおじさんから、貰い手がいないかと相談を受けた。
そこで、子どもが集まるコミュニティスペースを紹介し、虫取りイベントに活用して皆さんに喜んでもらえた。
「些細なことかもしれませんが、人をつないで誰かのために役立てたことがとても嬉しかったです。」
挨拶や声を掛け合える知り合いが次第に増え、助け合える関係が築けているのが実感できた。

近年、秩父では後継ぎ問題を抱える蕎麦屋も増えている。
今後も人との縁を大事にしながら、秩父の蕎麦を盛り上げることに貢献できたらと考えている。
「まだまだ修行中ではありますが、これからも自らの可能性を広げるために、積極的に飛び込んで挑戦してみたいです。」
真摯な眼差しと清々しい笑顔で語ってくれた。



武蔵屋本店
http://www.chichibu-soba.com
埼玉県秩父市上宮地町9-19
0494-23-6348